2017年6月8日木曜日

レナ・ダナム(山崎まどか訳)『ありがちな女じゃない』(河出書房新社、2016年)

 アメリカの人気ドラマシリーズ「GIRLS」の監督・脚本・主演をこなし、その作品と演技の高さで多くの賞を受賞した、1986年生まれのレナ・ダナム。ニューヨーク在住の彼女が、「GIRLS」の主人公ばりに飾らない態度で、日々の生活や自分の生き方、セクシャリティ、女性としてありのままに生きることについての苦難や悩み、率直な疑問などをストーレトに語ったエッセイ。

 レナ・ダナムの父親は画家のキャロル・ダナム、そして母親は写真家のローリー・シモンズ。世界的に著名な芸術家を両親に持ったものの、自分の人生を自分なりに悩みながら生き抜いてきた1人の女性の生き様は、ドラマ「GIRLS」の主人公と重なる。本人が演じるドラマの主人公は、何者かに成りたいとあこがれつつも、親からは完全に自立できず、普通の女性ではいたくないと思いながらも、周りにいるちょっと変な仲間に翻弄されている。傷つきながらも、それでも世間が求める普通に抗って、自分の生を生きようとするドラマの主人公のベースは、演じた本人そのものであることが、本書を読むとよく分かる。

 ドラマ「GIRLS」では、あけすけなセックスシーンやヌードシーンが多く、非難も多かったようだが、女性がそのように大胆に性を表現することについて、ダナムは、母親のローリー・シモンズを引き合いに出しながら語っている。シモンズも若い頃、セルフポートレートで自身のヌードを撮影していた。しかし、現在のスマホで気軽に撮るセルフィーと、撮影機材や現像も複雑で面倒だった当時のセルフヌードとは比較にならないとし、そこには恐怖心とともに、自分自身が本当は何者かを明らかにしたいという渇望への強い意思を感じるという。それを引き継ぐように、娘であるダナムも、他者からの非難に傷つき恐れながらも、自分と自分の性を知るために、ドラマや映画などを自ら演じ、制作している。

 母がむきだしで、欠点をさらしてでも自分の体を記録してきたように、ダナムも、「見せられるような体じゃないのに」という人々の潜在意識に向き合い、美しくはなく、また上手でもないかもしれないが、こうあるべきであるという身体や性にあらがって制作をしてきた。そんな彼女の映画を見て感銘を受けた少年のエピソードは、身体のイメージについてダナムが大きな影響を与えられたことを示しており、彼女の映像がなぜ共感を呼ぶのかを如実に示している。

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207193/

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